令和5年度を迎えるにあたって、皆さんはどの様な決意で臨んでいますか。本日はそのスタートの日となります。自分の「志」が見出せている人は、その実現に向けて最大限の努力を続けていってください。いまだ、「志」が見つからない人は、見つかった時のために備えて、日々の授業を大切にして力を蓄えておくことが大切です。今を一生懸命に過ごしてください。
先日、日本が優勝したWBC。皆さんも感動したことだと思います。その中でダルビッシュ選手が不調に苦しむ村上選手に「必ず勝たなければならない野球なんてない。もっと野球を楽しみましょう。」というアドバイスをしたそうです。
日の丸を胸につけ、日本野球の名誉のためにというプレッシャーを背負ってプレーした選手たちの重圧は想像を絶するものだったでしょう。彼らは優勝することで日本の人々に感動を与え、元気を与えることを「志」として、練習に取り組み、優勝という結果をつかむことだけを考えていたのでしょう。しかし、自分の打撃が不調のために、チームに迷惑をかけたと思い込み、下を向いている姿にダルビッシュ選手でなければかけられない言葉をかけたのだと思います。考えてみれば、優勝もさることながら、選手がひたむきに、最後まで諦めずに全力を出し、元気にそして、楽しそうに生き生きとプレーしている姿こそが、私たちに感動を与え、元気を与えてくれたのではないでしょうか。これは、ステージの大小にかかわらず言えることだと思います。
皆さんも、上手くいかないこともあるでしょう。努力が報われないこともあるかもしれません。そのような時こそ、前向きに、そして元気に立ち向かっていくことを楽しんでほしいと願っています。
孔子のことばに「これを知る者はこれを好む者に如かず。これを好む者はこれを楽しむ者に如かず」とあるように、何かを行うにあたって、楽しみをもって行う者が最強であるということです。様々な「学び」に対して「楽しさ」を感じながら行っていけたら、より充実した日々となるのではないでしょうか。
また、一つ一つの試合において、相手を「思いやり」「リスペクトする」姿が見られました。相手を尊重し互いに高めあっていく精神は「日本人としての誇り」さえ感じられました。相手の気持ちを理解してこそ、自分の為すべきことが見えてきます。社会マナーやルールは、「思いやり」の精神をもつことで十分に守れるはずです。他人を思いやり、親切な行動をとれば、光が鏡に反射するように、自分にもどってくるものです。その考え方こそが「志」の原点であると思います。自分を大切に、他者を大切にして互いに高めあって行っていきましょう。
学校は、思い切って失敗できる場所です。新年度にあたり、失敗を恐れず、自分を信じ、何事に対しても挑戦する前向きな気持ちをもって、元気に楽しく向かって行きましょう。
令和5年4月7日
校長 井上 実