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令和6年度2学期終業式校長講話

2024年12月25日 新着情報, 校長ブログ

本日で令和6年度2学期が終了します。皆さんは自分の努力に対して納得のいく結果だったでしょうか。
一人一人目標もやるべきことも異なると思います。大切なことは山の頂上のゴール(人生の目標)に向って、一歩一歩着実に進んだかどうかということです。

以前に「うさぎとかめ」の話をしたかと思いますが、この話が私達に伝えたいのは「油断大敵」「過信禁物」ということではありません。両者の見ているものが異なるということです。
うさぎはかめのことばかり見ていて、大切な人生の目標・山の上のゴールを見ていませんでした。そのために、自分の目標がかめに勝つことになってしまったのです。
一方のかめは、うさぎのことなど、ただの一度も見ていません。かめは山の上のゴール・人生の目標だけを見据えて一歩一歩着実に歩んで行きました。
大切なことは自分の目標に向って努力し続けるということです。時には色々な困難が訪れます。「難があるから有難い」という精神で、自分を鍛えるための困難と割り切って乗り越えていくことが大切です。上手くいかないことの方が、はるかに多いのです。その一つ一つを果敢に乗り越えていくからこそ、失敗に意味が生まれていきます。
蒸気機関車も急な坂に差し掛かると、砂をまき「何だ坂、こんな坂」とフルパワーを出して上っていきます。アプト式鉄道、スイッチバック等、坂の多い日本ならではの技術で適応してきたことが、鉄道大国・日本の所以ですね。

この先10年でAIからAGIへと進化していくと言われています。つまり、AIが単一の作業しかできなかったところに、汎用性がそなわり、同時に複数の作業をこなすようになり、その能力は10倍になるということです。そのような社会において、人間ならではの力を身に着け、AIを使いこなすことができるように適応力をつけておかなければならないのです。過去において自動車が世に出たときに「危険だ」等と懐疑的であった人々も、次第にその便利さを優先し安全な使い方を模索するようになっていきました。
AIも同様です。過渡期においてはリスクばかりが先行しますが、次第になくてはならない物へとなっていきます。近未来において、劇的な進化をとげるテクノロジーに対応できる力を身に着けることが求められています。

次にグローバル・シチズンという言葉を聞いたことがあるでしょうか。「自分の国だけではなく、世界的な視野で物事を考え、行動する人」という意味です。今、まさにこの「グローバル・シチズンシップ」つまり、「自らの世界をより良くしようとする志」を持つべき時ではないでしょうか。何故なら、世界的に起こっている気候変動、温暖化等の問題は日本という狭い視野だけでは解決することはできないからです。世界は繋がっており、様々な問題も複雑に絡み合い、影響しあっています。物事を地球規模で考え、行動することが求められています。

日本には、世界に通用する素晴らしい資源が豊富にあります。観光、漫画・アニメ、新幹線などの鉄道技術、ロボット技術、ゲーム産業、茶道、華道、書道、日本舞踊、空手、剣道、柔道、相撲、日本料理等々、すべて世界に誇れるものばかりです。そんな中には、自分を生かせる道が必ず存在するはずです。

そうした社会を先行的に肯定するためには「学ぶ」という姿勢が重要となります。いま皆さんは、その「学び」の真っただ中にいるのです。自分が「何のために学ぶのか」をしっかりと自覚し、この2学期の反省点を改善するように努力し、新年を迎え新たな気持ちでスタートできるように準備しましょう。

高校3年生の皆さん、いよいよ大学入試の本番を迎えます。いままで積み重ねてきたことに自信をもって、果敢に挑戦してください。失敗を恐れず、一歩一歩、山の上の目標だけを見据えて歩んでいきましょう。

「この道より我を生かす道なし、我、この道を行く」という信念をもって。

令和6年12月24日
足立学園中学校・高等学校
校長 井上 実