日増しに暖かい日差しを感じられるこの早春の佳き日に、初鹿野理事長を初めとする学園役員の先生方、同窓会・PTA会長、並びに多数の保護者・ご家族の皆様方のご臨席を賜り、足立学園高等学校第77回の卒業証書授与式をこのように盛大に挙行できますことを、心より御礼申し上げます。
さて、ただ今卒業証書を授与されました264名の卒業生の皆さん、卒業おめでとうございます。
今、新しい世界に足を踏み出そうとする皆さんの心の中には、この3年間の色々な思い出が去就していることと思います。
新型コロナウイルスの影響で変更となった1年次の校外学習、生徒主体で実施された修学旅行、またクラスで団結して臨んだ体育祭、学園祭、学業やクラブ活動だけではなく数々の経験を積み、様々な事に対して全力で取り組み、人間力を培ってきたことと思います。皆さんのそうした足跡は、しっかりとした山を築きこれからの人生において大きな力となることと思います。
「卒業」とは足立学園という学び舎で、皆さんが何を学び、どのような人格を備え成長したのかということを次のステージにおいて示していくことを意味します。
新たな自分に出会うために一歩前へと踏み出すための心構えをもつためのものです。
私は日頃より皆さんに「夢なき者に成功なし」と吉田松陰の言葉を借りて伝えています。
この場合の「夢」とは単に自分の幸せのみを求める夢ではありません。
例え小さな事であろうとも、世のため人のためにという思いを持ち、その夢の達成のために自分の人生をかける覚悟をもった夢、すなわち「志」の事なのです。
「志を立てて、以って万事の源と為す」というように、志を立てることができれば、自ずと何を成すべきかが分かってきます。
今、社会では多様性が尊重され、必ず一人一人の個性に応じた活躍の場が存在します。
「この道より我を活かす道なし、我この道を行く」と思える道を求め、自分の強みを活かしそれぞれの人生のゴールにむけて、一歩一歩着実に進んで行ってください。
皆さんが本学園において身に付けた「質実剛健 有為敢闘」の精神は、必ず皆さんを後押しするでしょう。
また、自分がいかに愛されているのか、周りから認められているのかということを知るべきです。
そうした環境で芽生えた良き心が、善なる気持ちとなり志へと育っていきます。
更には、何事に対しても全力で取り組む姿勢が身につき、その姿が人々を魅了させるのです。
AIが台頭する新しい時代において、人間としての真の生きがいとは何か。
人間ならではの活躍とはいかなるものかを姿勢で示し、困難や試練に対し果敢に挑戦していってほしいと願っています。
その経験は、必ず皆さんの「思考」「感性」「勇気」を磨き、皆さんの更なる成長の大きな要因となることを確信しています。
そして、「卒業」とは、苦しい時、悲しい時に、いつも傍にいてくれた仲間や家族に感謝をし、この先も決して一人ではないと確認する意味をもっています。
本日この瞬間より、皆さんは足立学園同窓会の一員として、生涯の友と共に生きていくことになります。
いかなる試練や困難に出会っても、その苦しみを分かち合い、勇気と希望を与えてくれる友がいるのです。
互いに尊敬しあい、助け合い太くて長い絆を構築していってください。本校は創立百周年への準備段階を迎えています。
3万有余名の同窓生の一員として、やればできるという自信、自分は尊い存在であるという自尊心、これだけのことをやったという自負心、自分は認められるべき存在であるという自己肯定感、すなわち足立学園の魂を備え、誇りをもって歩んで行ってください。
保護者の皆様方、ご子息のご卒業を心よりお祝い申し上げます。
皆様方には、この3年間、または6年間、本校の教育活動にご理解とご支援を賜り、誠にありがとうございました。
厚く御礼申し上げます。
結びとなりますが、
「夢なき者に成功なし、志を立てて挑戦せよ 足立健児よ」
とエールを送り、卒業生の未来に幸多からんことを祈念し、式辞とさせていただきます。
令和7年3月1日
足立学園高等学校
校 長 井上 実