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 日増しに暖かい日差しを感じられるこの早春の良き日に、初鹿野理事長を初めとする学園役員の先生方、同窓会・PTA会長、並びに多数の保護者・ご家族の皆様方のご臨席を賜り、足立学園高等学校第七十六回の卒業証書授与式をこのように盛大に挙行できますことを、心より御礼申し上げます。

 さて、ただ今卒業証書を授与されました256名の卒業生の皆さん、卒業おめでとうございます。今、新しい世界に足を踏み出そうとする皆さんの心の中には、この3年間の色々な思い出が去就していることと思います。1年次の南房総校外学習、2年次の修学旅行、3年次の体育祭、学園祭での団結の強さなど、学業やクラブ活動だけではなく数々の経験を積み、様々な事に対して全力で取り組む姿勢を身に着け、人間力を培ってきたことと思います。そうした力こそが、人々を魅了し、これからの人生において不可欠の力となることと思います。

 「卒業」とは足立学園という学び舎で、皆さんが何を学び、どのような人格を備え成長していったのかを次のステージにおいて示していくことを意味します。また、学校にとっては、その教育を通して、いかなる人材を育成し社会に輩出したのかという責任が問われることでもあります。私は日頃より皆さんに「夢なき者に成功なし」と吉田松陰の言葉をかりて伝えています。この場合の「夢」とは単に自分の幸せのみを求める夢ではありません。例え小さな事であろうとも、世のため人のためにという思いを持ち、その夢の達成のために自分の人生をかける覚悟をもった夢、すなわち「志」の事なのです。「志を立てて、以って万事の源と為す」というように、志を立てることができれば、自ずと何を成すべきかが分かってきます。皆さんはこれから、大学へと進学し、新たな挑戦をしていくわけですが、大学はゴールではありません。何のために学び、何を成し遂げたいのかをしっかりと胸に秘め、その達成のために試行錯誤を繰り返していくことが重要です。自分がいかに愛されているのか、周りから感謝されているのかを知ることで、良心が生まれ志へと育っていきます。そして、何事に対しても全力で取り組む姿勢が身につき、その姿が人々を魅了させるのです。AIが台頭する新しい時代において、人間としての真の生きがいとは何か。人間ならではの活躍とはいかなるものかを姿勢で示し、困難や試練に対し果敢に挑戦していってほしいと願っています。その経験は、必ず皆さんの「思考」「感性」「勇気」を磨き、これからの人生に大きな力となることを確信しています。

 また、「卒業」とは、皆さんに生涯の友人をもたらすことを忘れないで下さい。本日この瞬間より、皆さんは足立学園同窓会の一員として、生涯の友として生きていくことになります。いかなる試練や困難に出会っても、その苦しみを分かち合い、勇気と希望を与えてくれる友がいるのです。互いに尊敬しあい、助け合い太くて長い絆を構築していってください。本校は今年、創立95周年を迎えます。3万有余名の同窓生の一員として、やればできるという自信、自分は尊い存在であるという自尊心、これだけのことをやったという自負心、自分は認められるべき存在であるという自己肯定感を備え、誇りをもって歩んで行ってください。

 保護者の皆様方、ご子息のご卒業を心よりお祝い申し上げます。皆様方にはこの三年間、または六年間本校の教育活動にご理解とご支援を賜り、誠にありがとうございました。厚く御礼申し上げます。

 結びとなりますが「夢なき者に成功なし、志をたてて挑戦せよ 足立健児よ」

とエールを送り、卒業生の未来に幸多からんことを祈念し、式辞とさせていただきます。

令和6年3月2日
  足立学園高等学校
  校 長 井上 実