中学

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桜も満開となり日増しに春の気配を感じられる今日の良き日に、初鹿野理事長先生を初めとするご来賓の皆様方、並びに多数の保護者・ご家族の皆様方のご臨席を賜り、足立学園中学校第42回の卒業証書授与式を挙行できますことを、心より御礼申し上げます。

さて、只今卒業証書を授与されました181名の卒業生の皆さん、卒業おめでとうございます。今、次のステージに足を踏み出そうとしている皆さんの心の中には、この3年間の色々な思い出が去就していることと思います。何といっても新型コロナウイルスに翻弄された3年間でした。
入学式が中止となり、初めから分散登校、慣れないオンライン授業となり、希望に満ちた中学校生活が一転して不安だらけスタートとなってしまいました。学校行事も延期、中止となり、さぞかし辛い思いをしたことと思います。

しかしながら、皆さんはその一つ一つの困難を見事に乗り越えて本日を迎えています。
このような経験は、竹が風雨に堪えて、強くしなやかな節目をつくるように、皆さんの心を鍛え、たくましく、しなやかに成長する要因となったのではないでしょうか。その皆さんの努力に対し、心より称賛の意を表したいと思います。

中学校卒業とは義務教育9年間の全課程を修了したことを意味し、同時にその証書は皆さんの努力の成果というべきものです。この3年間の皆さんの努力の成果はこれからの人生において、何物にも変えがたい人生の糧となることでしょう。そうした成果は決して自分一人で成し得るものではありません。15年間絶え間なく愛情を注ぎ続け、これからも注ぎ続けてくれるご両親・ご家族に、今日の卒業に際して、心より「ありがとうございました」と感謝の気持ちを伝えて下さい。

克己心という言葉があります。文字通り己に克つ心です。人の心の中には、何かを成し遂げたいという気持ちと、そのために必要な努力にブレーキをかけてしまう弱い気持ちが存在します。その弱い気持ちに打ち勝つために、克己心とか努力は嘘をつかない等の言葉で自分を励ましてきているのです。いくら気高い志を立てたとしても、その達成のための努力が伴わなければなりません。戦国武将の山中鹿之助は、尼子家の家臣として、主家が毛利氏によって滅ばされてから、その再興を志として掲げ、その達成のために如何なる困難をも乗り越えていきました。何度も捕らえられては逃亡し、再起を図る、全知全能を駆使してトライアルアンドエラー(試行錯誤)を繰り返す、そんな彼の生き方を表す歌に「憂きことの、なほこの上に積もれかし、限りある身の力ためさん」というものがあります。要約すると、七難八苦を我に与えたまえ、それを克服することで自分は強くなれるということです。何とポジティブな考え方でしょうか。

人生には困難がつきものです。自分の志があり、その為にという思いがあれば、乗り越えることができるのではないでしょうか。つまり、「志を立てて、以って万事の源と為す」ということです。これは明治維新の原動力となった志士達を育てた吉田松陰の言葉です。皆さんにも「夢なき者に成功なし」とお伝えしていると思います。戦国時代も幕末も日本が大きく変わる時です。そうした時に時代を大きく変える舵を取る人達は皆、世のため人のためにという、大きな志を持ち、その達成のために全力を尽くして努力したのです。

今、AIの台頭により、世の中は大きく変わろうとしています。変化に振り回されるのではなく、この変化に乗じて自分の活路を切り開いていこうとするポジティブな考え方ができる時代でもある訳です。皆さんの能力は無限大です。どのような困難が立ちはだかろうとも、それを自分のスキルアップの為とポジティブにとらえ、失敗を恐れずに果敢に挑戦していって下さい。足立学園中学校の卒業生として、胸を張り、誇りをもって突き進む姿が、後輩たちの「道しるべ」になると確信しています。

皆さんの大半は足立学園高等学校に進学するわけですが、次のステージにおいても、やればできるという自信、自分は尊い存在であるという自尊心、これだけのことをやったんだという自負心、自分は認められるべき存在であるという自己肯定感を備え、誇りをもって歩んで行ってください。皆さんの人生の旅は、まだまだ続いていきます。

保護者の皆様方、ご子息のご卒業を心よりお祝い申し上げます。皆様方にはこの3年間、本校の教育活動にご理解とご支援を賜り、誠にありがとうございました。厚く御礼申し上げます。

結びとなりますがもう一度、「夢なき者に成功なし、志をたてて挑戦せよ 足立健児よ」
とエールを送り、卒業生の未来に幸多からんことを祈念申し上げ、式辞とさせていただきます。

令和5年3月23日
足立学園中学校 校長 井上 実