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まずは、新型コロナウイルスの影響で、この様な状況にもかかわらず、初鹿野理事長をはじめとする御来賓の方々、多数のご家族の皆様方のご臨席を賜り第41回の卒業証書授与式を挙行できますことを心より御礼申し上げます。
また、卒業生の皆さんにとっては、この晴れの日に、在校生の見送りも制限されさぞかし寂しい思いをしていることとお察しいたします。保護者の皆様には、感染防止への対策とはいえ、各家庭2名までという制限をさせていただき、誠に申し訳ございません。

 さて、只今卒業証書を授与されました184名の卒業生の皆さん、卒業おめでとうございます。今、新たな一歩を踏み出そうとしている皆さんの脳裏には、この3年間の色々な思い出が去就していることと思います。特に、皆さんは、新型コロナウイルス感染症の蔓延により、体育祭、学園祭など、学業やクラブ活動以外に人間力を養う上で重要な学校行事がことごとく中止となってしまいました。さらには緊急事態宣言による休校、オンライン授業、クラブ活動の制限等、多大な不安を抱える中での学校生活となり、制約だらけの1年間でした。
しかしながら皆さんは、その一つ一つを見事に乗り越え本日を向かえています。また、制約が多い中での修学旅行、スキー実習では、感染対策を強化し自制心をもって行動し、新しい行事の在り方を作り上げてくれました。そのような経験は竹が風雨に耐えて、強く丈夫な節目をつくるように、皆さんの心を鍛え、人間力を培い、新しいステージにおいて、必ず皆さんの成長の助けになると確信しています。

 司馬遼太郎の「坂の上の雲」には、世の中が大きく変わろうとしていた明治時代に、自分の為すべきことを探し求めた3名の若者が描かれています。坂の上に見える青い空、そこに浮かんでいる白い雲を自分の理想・志と見立てて、それに近づくために、懸命に長い坂道を上る。しかし、簡単に雲を掴むことはできません。それでも諦めずに上り続ける。これは、予測不能な現代の社会でも同様であると思います。本校の校歌に、筑波の高嶺を軒端に仰ぎ、進みて弛まぬ健児の歩み、高き理想、輝く希望、いざや登らん嶺の極みとあります。まさに同様のことを示しています。

 本日をもって義務教育課程の学びのすべてを終えるわけですが、本来、「学び」の目的は人類貢献・社会貢献にあり、その学びはこれからもずっと繋がっていきます。詰め込まれた知識をはき出すだけでは通用しない時代が迫っています。様々な知識や物の見方、考え方をもって、創造力に富んだ発想を巡らし、新しい気づきや価値観を構築してこそ、新しい時代において活躍できる人財となるのです。
日頃より、私は皆さんに吉田松陰の言葉をかりて「夢亡き者に成功なし」と伝えています。この場合の夢とは単に自分の幸せを求めるものではなく「世のため人のために」という気高い想いを持ち、その達成のために自分の人生をかける覚悟をもった夢、すなわち「志」のことなのです。
志を持つことができれば、その達成の為にどの様な困難にも立ち向かい、失敗を恐れず果敢に挑戦していけるはずです。何も挑戦しなければ失敗もしないでしょう。何かに挑戦するからこそ、成功もあれば失敗もあるのです。失敗することは決して恥じるべきことではありません。失敗を恐れて挑戦しないことより余程、人間力を高める上で価値あることと思いませんか。次のステージである高等学校に進学するにあたり、自分は「何のために学ぶのか」「何を成し遂げたいのか」をさらに探究し、その達成の為に全力で努力し、失敗を恐れず、果敢に挑戦していって欲しいと願っています。

また、このかけがえのない184名の仲間たちを生涯の友として、喜びを分かち合い、苦しい時には助け合い、心ゆたかな人間関係を構築していって下さい。

保護者の皆様方、本日はご子息のご卒業、誠におめでとうございます。皆様方には3年間、本校の教育活動にご理解・ご協力を賜り誠に有難うございました。心より御礼申し上げます。

最後になりますが、「青雲の志をもって挑戦せよ足立健児よ」とエールを送り、式辞とさせて頂きます。

令和4年3月23日
足立学園中学校 校長 井上 実