中学校

junior

まずは、新型コロナウイルスの影響で、この様な制限の中で第40回の卒業証書授与式の挙行となりましたことを、心よりお詫び申し上げます。
卒業生の皆さんにとっては、この晴れの日に、在校生の見送りもなくさぞかし寂しい思いをしていることとお察しいたします。
保護者の皆様には、感染防止への対策とはいえ、各家庭2名までという制限をさせていただき、誠に申し訳ございません。
さらには、卒業対策委員の皆様には、1年間準備を重ねてこられた、卒業を祝う会を中止せざるを得なくなりましたことに、心よりお詫び申し上げますと同時に、そのご苦労に対し、深く感謝申し上げます。

この様な状況ではございますが、ただ今卒業証書を授与いたしました140名の卒業生の皆さん、卒業おめでとうございます。
今、新たな一歩を踏み出そうとしている皆さんの脳裏には、この3年間の色々な思い出が去就していることと思います。
特に、皆さんは、台風の影響で1年次の林間学校が中止となり、新型コロナウィルス感染症の蔓延により2年次のスキー教室、3年次の修学旅行、体育祭、学園祭など、学業やクラブ活動以外に人間力を養う上で重要な学校行事がことごとく中止となってしまいました。
さらには昨年4月に緊急事態宣言による休校、オンライン授業、クラブ活動の制限等、多大な不安を抱える中での新学期スタートとなり、制約だらけの1年間でした。
しかしながら皆さんは、その一つひとつを見事に乗り越え、本日を向かえています。そのことは、竹が風雨にさらされて、強く丈夫な節目をつくるように、皆さんの心を鍛え、人間力を培い、新しいステージにおいて、必ず皆さんの成長の助けになると確信しています。

本日をもって義務教育課程の学びのすべてをおえて一段落という所でしょうが、皆さんは「何のために学ぶ」のでしょうか。
本来、「学び」の目的は、人類貢献・社会貢献にあると思います。社会に出て、自分の資質能力を発揮する、世のため人のために少しでも貢献できるようにすることが、本当の意味での「自己表現」であり、そのために学び、その学びはこれからもずっと繋がっていきます。詰め込まれた知識をはき出すだけでは通用しない時代が迫っています。様々な知識や物の見方、考え方をもって、創造力に富んだ発想をすることで新しい智や価値観を構築してこそ、新しい時代において活躍できる人財となるのです。

日頃より、私は皆さんに吉田松陰の言葉をかりて「夢亡き者に成功なし」と伝えています。この場合の夢とは単に自分の幸せを求めるものではなく「世のため人のために」という気高い想いを持ち、その達成のために自分の人生をかける覚悟をもった夢、すなわち「志」のことなのです。
志を持つことができれば、その達成の為にどの様な困難にも立ち向かい、失敗を恐れず果敢に挑戦していけるはずです。何も挑戦しなければ失敗もしないでしょう。何かに挑戦するからこそ、成功もあれば失敗もあるのです。失敗することは決して恥じるべきことではありません。失敗を恐れて挑戦しないことより、余程人間力を高める上で価値あることと思いませんか。
次のステージである高等学校に進学するにあたり、自分は「何のために学ぶのか」「何を成し遂げたいのか」を探究し、その達成の為に全力で努力し、失敗を恐れず、果敢に挑戦していって欲しいと願っています。
また、「志」を持つことにより、他者の幸せを考え相手に対する思いやりが持てるようになります。この、かけがえのない140名の仲間たちを生涯の友として、喜びを分かち合い、苦しい時には助け合い、心ゆたかな人間関係を構築していって下さい。

保護者の皆様方、本日はご子息のご卒業、誠におめでとうございます。皆様方には3年間、本校の教育活動にご理解、ご協力を賜り誠に有難うございました。心より御礼申し上げます。

最後になりますが、もう一度「志をもって挑戦せよ足立健児よ」とエールを送り、式辞とさせて頂きます。

令和3年3月23日
足立学園中学校
校長 井上 実